みなさんこんにちは
ミラーレスと一眼レフの違いを考えていくこのシリーズですが、ファインダー関連は一段落したのでここではレンズの話をしたいと思います。
前回の記事はこちら
目次
レンズ拡充の歴史
ミラーレスカメラは一眼レフと異なり、ミラーボックスを持ちません。ミラー駆動範囲を確保する必要が無いため、レンズ後端をセンサーに極端に近づけることも可能になります。この辺はレンジファインダーカメラと同じような感覚ですね。マウントからセンサー(フイルム)面までの距離のことをフランジバックといいます。
フランジバックが異なるレンズ群、つまり既存のレンズからマウントの変更を行うチャンスということでもあります。
これまで大きなレンズマウントの変更といえば、キヤノンのFDマウント→EFマウントが挙げられますね。また、近年ではソニーEマウントの発足などもあります。
では、この2モデルをベースにレンズ拡充ペースがどの程度だったかを確認しましょう。
ソニーの場合(マウント展開開始5年分)
情報は価格.comの発売時期を参考にしています。
情報の羅列となり、長いので必要に応じて参照してください。
レンズ分類 | 対応センサーサイズ | レンズ名 | 発売日 |
---|---|---|---|
広角単焦点 | APS-C | E16mm F2.8 | 2010年6月24日 |
高倍率ズーム | APS-C | E18-200mm F3.5-6.3 OSS | 2010年9月10日 |
レンズ分類 | 対応センサーサイズ | レンズ名 | 発売日 |
---|---|---|---|
マクロ | APS-C | E30mm F3.5 Macro | 2011年9月22日 |
望遠ズーム | APS-C | E55-210mm F4.5-6.3 OSS | 2011年10月14日 |
広角単焦点 | APS-C | Sonnar T* E24mm F1.8 ZA | 2011年12月9日 |
レンズ分類 | 対応センサーサイズ | レンズ名 | 発売日 |
---|---|---|---|
中望遠単焦点 | APS-C | E50mm F1.8 OSS | 2012年3月9日 |
高倍率ズーム | APS-C | E18-200mm F3.5-6.3 OSS LE | 2012年6月15日 |
広角ズーム | APS-C | E10-18mm F4 OSS | 2012年11月16日 |
標準単焦点 | APS-C | E35mm F1.8 OSS | 2012年12月7日 |
レンズ分類 | 対応センサーサイズ | レンズ名 | 発売日 |
---|---|---|---|
標準ズーム | APS-C | E PZ16-50mm F3.5-5.6 OSS | 2013年2月22日 |
高倍率ズーム | APS-C | E PZ18-200mm F3.5-6.3 OSS | 2013年3月8日 |
広角単焦点 | APS-C | E20mm F2.8 | 2013年3月8日 |
標準ズーム | APS-C | Vario-Tessar T* E16-70mm F4 ZA OSS | 2013年9月13日 |
中望遠単焦点 | APS-C | E50mm F1.8 OSS | 2013年9月13日 |
広角単焦点 | フルサイズ | Sonnar T* FE35mm F2.8 ZA | 2013年11月15日 |
高倍率ズーム | APS-C | E PZ18-105mm F4 G OSS | 2013年12月13日 |
標準単焦点 | フルサイズ | Sonnar T* FE55mm F1.8 ZA | 2013年12月20日 |
レンズ分類 | 対応センサーサイズ | レンズ分類 | 発売日 |
---|---|---|---|
標準ズーム | フルサイズ | Vario-Tessar T* FE24-70mm F4 ZA OSS | 2014年1月24日 |
標準ズーム | フルサイズ | FE28-70mm F3.5-5.6 OSS | 2014年2月7日 |
望遠ズーム | APS-C | E55-210mm F4.5-6.3 OSS | 2014年2月7日 |
望遠ズーム | フルサイズ | FE70-200mm F4 G OSS | 2014年3月20日 |
広角ズーム | フルサイズ | Vario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZA OSS | 2014年11月7日 |
標準ズーム | フルサイズ | FE PZ28-135mm F4 G OSS | 2014年12月下旬 |
Eマウント開始から3年はフルサイズラインナップはありません。また、現在フル・APS-C混在で40本超のレンズを抱えていますが、マウント開始5年では計23本のラインナップとなっています。
ポイントとしては、Aマウントレンズをマウントアダプターで使用できたという点でしょうか。もちろんデジタル対応の専用レンズの拡充は急務であったことが考えられますが、既存のレンズ群を使用できるのは大きいですよね。
マウント開始5年でのレンズ構成は以下のとおりです。
- APS-C ズームレンズ 9本 (広角 1本・標準2本・望遠2本・高倍率4本)
- APS-C 単焦点レンズ 7本 (広角 3本・標準1本・望遠2本・マクロ 1本)
- フルサイズ ズームレンズ 5本 (広角1本・標準3本・望遠ズーム1本)
- フルサイズ 単焦点レンズ 2本 (広角1本・標準1本)
ちなみに、この記事を書いている2018年2月11日の段階で、フルサイズEマウントレンズは24本を数えています。(これも2013年から2017年とすれば5年ですね)
では、全く新規設計を行ったために緊急でレンズ拡充を行う必要があったキヤノンEFマウントはどうでしょうか。
キヤノンの場合(マウント展開開始5年分)
レンズ群が膨大なので詳細は割愛しますが、46本のレンズをマウント開始5年(1987年から1991年)でリリースしています。フルサイズ(135判)のみだったこともありますが、充実度は非常に高いですね。情報はキヤノンカメラミュージアムを参照しました。
- 1987年 13本
- 1988年 8本
- 1989年 5本
- 1990年 9本
- 1991年 11本
では5年間での内訳を確認してみましょう。
- ズームレンズ 24本 (広角1本・標準12本・望遠11本)
- 単焦点レンズ 22本 (魚眼1本・広角4本・標準3本・望遠7本・超望遠2本・マクロ2本・TS-E3本)
とんでもないですな。従来のレンズが使えないということを差し引いても、かなりのハイペースで商品展開を行っています。
現在、EFマウントのレンズは56本がラインナップされていて、これは新旧モデルチェンジの旧商品を展開していることを考えると、最初の5年で8割以上をカバーしている計算になります。
レンズがないと写真は撮れないし、ラインナップは新マウントを選択する上での注目ポイントになりますね。
ミラーレス化にあたってマウント変更が必要なメーカー
ミラーレス化(またはフルサイズミラーレスの展開)にあたって、マウントの変更が必要なメーカーはどこがあるでしょうか。
キヤノン
ミラーレス用のマウントとしては、すでにEF-Mマウントがあります。
ただしこれはAPS-Cのセンサー用のもので、おそらくキヤノンもいずれはフルサイズミラーレスに参入してくると考えられますので、マウントを追加してくるのではないでしょうか。
EF-Mマウントのフランジバックは18mmで、一眼レフ用のEF(EF-S)マウントは44mmです。設計の自由度とマウント径の拡大を狙うならば、EF-Mよりもフランジバックが長くなることも考えられます。
EF-Mのマウント径のままフルサイズ化できるかといえば、まぁできなくはないんでしょうが。
ニコン
ほぼ必須に近いでしょうね。
現在持っているミラーレスマウントはニコン1マウントですが、これはニコンCXフォーマットと呼んでいる、いわゆる1型センサー用のマウントです。あまりにも小さいため、このままではフルサイズ化はもとよりAPS-Cのセンサーも入りません。
一眼レフ用のニコンFマウントは、古くから使われているため、レンズが非常に充実しています。その反面、マウント径が小さいためミラーレス化にあたって拡大する必要があるかもしれません。その際、Fマウント用のレンズだと(アダプター次第でしょうけど)ケラレが出たりする可能性もでてきますので、フルサイズミラーレス用の新マウントレンズを急いで揃えていく必要性はキヤノンより高まりますね。
そうとしたら、今はひたすらレンズ設計を行っているということでしょうか……。
ペンタックス
ペンタックスもミラーレスマウントを持っていますが、ニコン1よりもさらに小さいペンタックスQマウント(1/2.3型または1/1.7型)です。
保有マウントは一眼レフ用のペンタックスKマウントと中判デジタル一眼レフのペンタックス645Aマウントです。フルサイズ一眼レフのK-1用レンズの拡充もこれからという状況なので、ミラーレス化はかなり後になりそうな気がします。
もしくはやらないか、ですね。
ソニー
ソニーはすでにフルサイズミラーレスを保有していますので、Eマウント(通称EFマウント)レンズの拡充でしょう。
富士フイルム
富士フイルムは中判ミラーレスにGマウント、APS-CサイズミラーレスにXマウントで参加したので、フルサイズミラーレスは手を出さないでしょう。
オリンパス・パナソニック
この2社はマイクロフォーサーズで展開していますので、フルサイズ化はおそらくないと考えられます。もしかしたら新たなフルサイズセンサーの規格化なんていうことをやらないとも限りませんが。
各センサーサイズの規格化を行ってくれると本当にいいんですけどねぇ。
まとめ
ということで、フルサイズミラーレスにあたっての問題点をレンズラインナップとマウントから考えてみました。
ここで見えてくるのはフルサイズ化に参加しそうなメーカーはキヤノンとニコン、ということですね。ペンタックスもいずれ参加するのかもしれませんが、RICOHの意向もありますし、あんまりお金がかかるようならできないかも。中判も持ってますからね。
新マウントに変わるとして、現マウントからレンズの流用が容易なのはキヤノンですが、ニコンも今では電子制御マウントになっていますし、どっこいどっこいでしょうか。
次回はレンズの重量バランスとかを考えてみたいと思います。
ではまた。