みなさんこんにちは。
秋桜の撮影で朝倉市に行ってきたので、ついでにといってはなんですが大刀洗平和記念館に足を伸ばしてきました。ここに来るのは2回目です。
大刀洗平和記念館とは
帝国陸軍飛行学校の本校にあたる福岡県大刀洗町に設立された平和記念館です。鹿児島県南九州市にある知覧には資料館があって有名なのですが、実はこの大刀洗町が本校になります。西日本(主に関西以西)の飛行学校の元締めになる拠点だったのですね。
学校拠点としては他にも京都府から鹿児島までの国内の他に、当時日本の占領下にあった朝鮮半島にも分校がありました。
飛行場としては大正8年に大刀洗陸軍飛行場として完成しています。あまり知られていないことですが、一時期は国内最大の航空基地であった時代もあったんです。ここに大きな基地があった理由としては、当時日本の占領地域であった朝鮮半島まで近いこと・艦砲射撃の影響を受けないこと(戦艦の主砲は数十キロ飛んでくるそうです……)・航空基地として適した広い平野があることなどが理由としてあげられます。
第二次世界大戦末期には特攻隊の発信基地としても使用されていたようです。ここから平和記念館内では、特攻隊に関する情報が数多くあります。
大刀洗の空襲で犠牲になった方、特攻でなくなった方、迎撃によってなくなったB-29乗員の方などのお名前や写真なども展示してあります。
零式艦戦・九七式戦
館内には零戦三二型と九七式戦の実機が展示してあります。館内唯一の撮影許可が零戦です。来場者の方はみなさん写真撮っていらっしゃいました。九七式戦などの展示物は撮影禁止ですね。
零戦は国内に十数機しか現存せず、この記念館に展示してある三二型は国内唯一となります。平和記念館の開館以前は同じ福岡県内にある音楽館(おんらくかん)に展示してありました。音楽館はYS-11(戦後初の国産旅客機)の練習用コックピットがあったり、8×10の木製カメラがあったり、アンティークオルゴールがあったりする個人博物館です。夏場に出してくれたアイスコーヒーが美味しかったです。冬期は閉館してます。
九七式戦も国内唯一の実機です。この機体のタイヤは宇宙戦艦ヤマトでおなじみの松本零士氏が寄贈したものだそうです。松本零士氏は国内唯一現存する零戦六二型が展示してある呉市海事歴史科学館(通称:大和ミュージアム)の名誉館長でもあります。
館内頭上にはB-29(アメリカ軍の戦略爆撃機。とにかくでかい。日本空襲のメイン爆撃機)の大きさを示す線が鉄骨で組んであって、目の前の零戦と見比べるとサイズ感の違いが体感できます。2階には迎撃戦闘機屠龍の大きさも示してあります。
他にもたくさんの航空機の模型や戦争資料が展示してあります。
カメラマニア向け展示物
厳粛な気持ちで見ていただくのが一番ですが、ちょっとだけカメラに関する情報を。
戦艦大和に搭載してあった測距儀(敵艦に照準を合わせるための機器)を日本光学(現:ニコン)が作っていた事は有名な話ですが、展示してあった資料に他のカメラメーカー名があったのでご紹介。
目についたものだけで申し訳ないですが。
- 陸軍地上評定機:工兵等測量用 …… 東京光学(現:トプコン)製
- 陸軍航空機用照準器具:重爆等用 …… 旭光学(現:リコーイメージング/旧:ペンタックス)製
- 航空写真機用カビネ判 …… 六桜社(現:コニカミノルタホールディングス/旧コニカ)製
- 九六式航空写真機 …… 六桜社(現:コニカミノルタホールディングス/旧コニカ)製
撮影禁止のため、どういったものかは各自でお調べいただくか現地で直接お確かめください。
戦時中は精機光学(現:キヤノン)とか高千穂光学(現:オリンパス)とか榎本光学(現:富士フィルム)とか富岡光学(現:京セラオプテック)なども色々やっていたみたいですね。光学メーカーは軍需と密接につながってしまうので、時代の流れからするとやむを得ないのはわかりますが。
特別展
2016年9月3日から2016年12月26日まで、企画展『知られざる特攻』が開催されています。
従軍カメラマン小柳次一氏(陸軍省報道部嘱託/軍属:当時)の写真などもあります。戦場カメラマンとは違う、従軍カメラマンでしか見ることのできない世界があります。
特別展『知られざる特攻』チラシ表(PDFです)
特別展『知られざる特攻』チラシ裏(PDFです)
アクセス
福岡県朝倉郡筑前町高田2561-1
℡:0946-23-1227
開館時間:9:00-17:00
休館日:12月29日-1月3日
入館料:500円
まとめ
どこの資料館に行っても思うことですが、やはり戦争は良くない。大刀洗は大戦末期に空襲を受けて、かなり大きな被害を出していますが、特攻兵としてなくなった方もたくさんいらっしゃいます。異常な時代とくくってしまうのは簡単ですが、そういうものでもないでしょう。
館内には子どもでも体験できるコーナーが少しですがありますので、ご家族連れも大丈夫。
零戦の写真は広角があると撮りやすいので、行くならそれだけつけていけばいいと思います。後の荷物はお金が戻ってくるロッカーがありますので、そちらにどうぞ。
色々は語りませんので、一回見に行ってはいかがでしょうか。
ではまた。