雲仙で見た、映像関係者が忘れてはいけないひとつの記憶

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みなさんこんにちは

先日、長崎県の雲仙に行ってきました。島原半島ジオパークに行くのが目的だったのですが、もう一つ目的があって、それが今回紹介する雲仙岳災害記念館です。

25年前の1991年、長崎県では雲仙岳(三峰のうち普賢岳)の火砕流が発生し、多数の人命が失われました(噴火活動は1990年から観測)。当時の被害などを今に伝えるのが、雲仙岳災害記念館を始めとする各保存群です。

噴火の悲惨さもそうですが、趣味や仕事に関係なく映像関係を扱う人であるなら、必ず見ておきたい展示があるためにやってきました。

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雲仙岳災害記念館とは

1990年11月に始まった平成噴火・1996年の噴火終息宣言まで、この地で何が起き、そして、何が残ったのか。自然の脅威と、災害の教訓を、風化させることなく正確に後世へ残します。大迫力のドーム型スクリーンで火砕流・土石流を擬似体験できる「平成大噴火シアター」をはじめ、火山や防災について11のゾーンに分けて展示をしています。見て触れてリアルに体感しながら、わかりやすく学習できる日本で唯一の「火山体験ミュージアム」です。

引用:雲仙岳災害記念館

引用の通り、災害が過去の記憶とならないために設置された施設です。

有明海に面した広大な敷地を持つミュージアムで、隣接する形で複数のサッカーコートなどを擁する島原復興アリーナがあります。

島原半島に行こう

今回、島原半島へはフェリーを利用しました。

海から見える雲仙岳を眺めながらの船旅です。

雲に覆われた雲仙岳長洲港(熊本県玉名郡長洲町)から多比良港(長崎県雲仙市国見町)まで、乗用車と一緒に船に乗り込みます。天気予報は雨になっていましたが、乗船時は雲が多いものの雨は降らずにいてくれました。欠航なんてことになると九州道を北上して佐賀まわりですから、時間的なロスを考えるとゾッとしますね……。

船旅は約45分程度。湿度は高いけれど、揺れも少なく天候の割に快適な方です。

船から望む雲仙岳は、上部を雲に覆われてその威容を拝むことはできませんでしたが、雲が噴煙のように見えます。

記念館から雲仙岳を臨む

噴煙を上げる山の中央部に平成新山が見える

フェリーから下船後、カーナビの指示に従って移動します。所要時間は約30分程度だったでしょうか。

青い服を着た大きな人物(サムライブルーの坂本竜馬像だそうです)のモニュメントが見えると、そのそばに雲仙岳災害記念館があります。

記念館からは、雲仙岳(平成新山)を臨むことができ、そこからの角度で見ると、ますます平成新山が噴煙を上げているように見えます。

本当に噴煙を上げている可能性もあるのですが、僕にはわかりませんでした。未だに噴煙が上がるそうですから、そうだったのかも知れません。

平成新山は2016年4月の熊本地震の影響で、溶岩ドーム崩落の危険性が高まっているとのこと。噴火が再度起こらないように祈るばかりです。

記念館

通称がまだすドームと呼ばれる雲仙岳災害記念館。入り口にはモニュメントがあります。また、入り口右側には島原半島ジオパークに関する情報コーナーがあり、ここは自由に立ち入ることができます。

写真が見づらくて申し訳ないのですが、ガラスには雲仙岳のシルエットが描かれています。

その他、近くに捜索や警戒監視活動で活躍したヘリ・装甲車が市に寄贈されていて、消防殉職者慰霊碑とともに展示してあります。

記念館へは、入り口脇にある券売機で入場料1,000円を支払って中に入ります。自動改札のような入場口なのですが、正直に言って、これだけは無くてもいいような気がします。来場者がどれほどあるのかはわかりませんが、入場口にもスタッフが常駐していますし、施設との兼ね合いからなんだか妙な印象を受けました。予算の無駄遣い感とでも言ったらいいんですかね……。余計なお世話なんでしょうが。

中に入ると、噴火の歴史や火山の仕組みなどが展示されています。火山の施設は他に行った事がない(と思う)ので、比較しようがないのですが、展示そのものがダイナミックで勉強になります。

模型とVR(っぽい。正確になんというかはわかりません)を組み合わせて、火山活動の動きを動的に見ることが出来る展示や、光を使って火砕流の動きを体感できる床面展示など、様々な趣向を凝らして火山の脅威を体感できます。あまりに小さなお子さんはともかく、小学校中学年くらいからは好奇心を誘うんじゃないでしょうか。

他にも、演劇場のような雰囲気の展示、クイズコーナーなどここも子どもでも楽しめる工夫が見られました。

どうしても見てほしい展示

  • 平成大噴火シアター

体感型シアターで、上映時間は約8分。動く床と吹き付ける温風で、噴火の様子を生々しく感じることが出来る。小さな子供や心臓が弱い人など、一部の方は見られないことがあるので注意。映像で使われている3D技術など、最初に古さは感じるものの、すぐに引き込まれること間違いなし。

  • 焼き尽くされた風景の展示

被災したレンズ被災した実物を展示しているコーナー。デレビカメラや望遠レンズなど、報道関係の被災物も多く展示してある。また、展示コーナーの背後壁面には、奪われた命と題したパネル展示があります。加熱する報道合戦によって奪われた命についての怒りが感じさせられる文面だった。

ここには、溶けた三脚や焼け焦げた電柱など、被災したままの物が展示してある。

  • 雲仙・大火砕流378秒の遺言

上映時間は約6分間の映像展示。亡くなる直前までカメラを回し続けていたカメラマンの最後の映像が、14年経った被災後に復元されたもの。『撮れてるの?』『撮れてます』という音声と、途切れ途切れの映像が生々しい。関係者へのインタビューもあり、テレビに限らず映像にこだわるということがどういうことなのかをもう一度考え直させられる。絶対に見るべき。

被災したテレビカメラが一緒に展示されているが、架台は前述の溶けた三脚である。

溶けた三脚と映像が復元されたビデオカメラは実際に見てほしいと思うので、掲載はしない。

アクセスなど

雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)
〒855-0879 長崎県島原市平成町1-1
TEL:0957-65-5555
雲仙岳災害記念館

その他、見に行って欲しい場所

みずなし本陣ふかえ

保存公園内展示雲仙岳災害記念館から車でそれほど遠くない距離にある道の駅。

『土石流被災家屋保存公園』に隣接しており、この保存公園では被災した家屋を保護・展示してある。観覧は無料。セットで行きたい。

火砕流体験館・火山学習館も近くにあり、雲仙岳噴火に関する知識を深めることも出来る。

道の駅には、雲仙地方の郷土料理というイギリス草が販売されていた。米ぬかで調理するようだけれど、ちょっとわからないですね……。食べたことがある方は教えてください。

まとめ

カメラをかまえると恐怖心が薄らぐという経験はありませんか?気がつくと崖すれすれ、柵から身を乗り出す、立入禁止区域に入るなど、カメラマンの死亡事件も度々報道されます。

僕自身は危険な場所に行くこと自体があまりないのですが、イベントの撮影中に警備員に注意を受けたことが何度かあります。これは決められたラインをわずかに超えてしまったというだけなので、笑い話になる程度ではあるのですが、警備する側からすればそんなカメラマンばっかりだと危険を感じますよね……。じわじわと近づいてくるわけですし。

鉄道カメラマンが柵に踏み入ったとか、戦地でジャーナリストが拘束された、山岳カメラマンが崖から転落した、他にもたくさんの話を耳にします。

自己責任の部分はありますが、少しでもいいものを撮りたいがために危険を犯していいということはありません。失われた命は戻ってこないし、巻き込まれて死んでしまう人もいるのです。行方がわからなくなれば、危険を犯して探してくれる方々がいます。心配で夜も眠れなくなる人もいてくれます。

災害報道がどうあるべきかを位置づけた災害でもあります。

記念館に残された、報道(広い意味で記録者)に向けられた、冷たく暗いメッセージを受け止め、安全という思い込みをなくした撮影を心がけていきましょう。

今回は暗い内容ですみません(汗

実際の雲仙岳災害記念館はキレイで、見どころもたくさんある施設です。先入観抜きで行ってもらって大丈夫ですので、行かれる方はしっかり体験してきてください。

ではまた。

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