50mmのレンズ選び (MTF曲線)

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みなさんこんにちは

前回の記事ではレンズ構成からその特性を見てみましたが、今回はMTF曲線を一緒に見てみたいと思います。

前回の記事はこちら

50mmのレンズ選び (レンズ構成)
みなさんこんにちは 先日レビューを上げた50mmのレンズですが、50mmって難しいですよね。 撮影がというより、レンズ選...

レンズは前回に引き続きますが、公式HPで確認できる現行品のみで見ていきます。

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MTF曲線とは?

ざっくりとした解説では、レンズのコントラストと解像度のグラフということになるでしょうか。コントラストが高い=解像度が高いという側面がありますので、レンズ性能の指標のひとつとして使われているものです。

そのため、レンズのスペックシートで公表されているものがほとんどなんですね。

ただし、このMTF曲線の性能評価は各社が独自に行なっていて、完全な共通の情報ではないということも知っておいたほうがいいです。結局参考程度にしかならないと。

でも参考になるなら参考にしようじゃないですか。

MTF曲線を読めるようになろう
みなさんこんにちは 勉強の秋ということで、今回はちょっとお勉強をしましょう。 お題は『MTF曲線』です。 はい、も...

EF50mm F1.8 STM

EF50mm F1.8 STMのレンズ構成

このレンズはSTMですが、曲線の傾向は初代・II・STM共に同じです。というのも同じレンズ構成を採用しているからですね。

開放では中心部は非常に良好ですが、中心から15mmほど離れた場所からはコントラストが低下していることがわかります。(黒の太線)

APS-Cセンサーの対角線長は約29mmですから、15mmまでを見ればフルサイズよりも性能の破綻が少ないということになります。フルサイズ換算80mmということで、ポートレートなんかで使うにはより向いているといえそうですね。

次に見るのは開放での解像度の高さ(黒の細線)です。これはそれほど高い性能には見えません。しかし収差の傾向は画面四隅以外はなだらかな曲線を描いています。M(同心円状の計測)も比較的この曲線に沿っていて、黒の細線が落ち込むラインまではそれほど乖離していませんね。つまり、開放ではふわっとしているものの不快な(二線になるなどの)描写はしにくいと考えられます。

このことから画面中心から3/4より端の方はボケがざわつく傾向がありそうです。ただ、コントラストの値も低くなっているため、暗めの背景の場合は気になりにくいかも。

これはF8まで絞り込んだ場合にはかなり改善されます。背景の処理、色合いなどで様々な表現ができそうですね。

EF50mm F1.4 USM

EF50mm F1.4 USM

位置づけ的にはEF50mm F1.8 STMの兄貴分にあたるレンズ。構成はSTMと同様にガウスタイプ。

ただこのレンズ、発売が非常に古いんです。1993年の発売ということは、今年(2018年)でなんと25周年。EF100mm F2 USM(1991年)やEF20mm F2.8 USM・EF85mm F1.8 USM(いずれも1992年)、またEF400mm F5.6L USM(1993年)などと同世代のレンズです。

表が非常に見にくいですが、0.5付近からスタートしているグラフが30本/mmで、その上の線が10本/mmです。

開放ではコントラスト・解像ともにSTMのレンズにかないません。ごく中心部でもコントラストは低めです。またコントラストの低下も比較的早く、特に15mmを超えたところから急に落ち込んでいますね。同心円での計測(Mの破線)との乖離も早く、開放では収差の影響も考えられます。ホケはざわつくことが多そうです。

解像も前述したとおり高くありませんが、周辺まで放射線状(S)・同心円状(M)のグラフがよくついています。フォーカス部からアウトフォーカスまでのなだれ込み方は自然なんじゃないでしょうかね。

絞り込んでも最新のレンズのような傾向にはならないようです。実用上は全く問題なくなりますが、絞ってもどこか柔らかい描写が残りそうで真夏の晴天での撮影でもどぎつくなりにくそうですよね。

EF50mm F1.2L USM

EF50mm F1.2L USM

キヤノンのフラッグシップ50mmです。

非常に明るいレンズで、STMと比較して約1段口径が大きくなります。その分ピントが薄く、大きなボケが期待できるレンズです。

大口径化のためか、開放でのMTFはクセがあります。良好といえるのは画面のほぼ中央のみ。

解像も高いとはいえず、柔らかい描写になることが予想できます。ただ曲線自体はどれを見ても似たような傾向で、解像感よりもピントの薄さを活かしたアウトフォーカス向けの設計がなされているようにも感じますね。

絞っても解像はやや甘そうです。レンズ枚数も多いので、収差が吸収しきれていないのでしょうか。ポートレートなどでは、光源の質によって変わるとは思いますが、女性ファッション系の描写向けっぽいですよね。

すごく高価なレンズ(税別希望小売価格で185,000円)なので、1段の差ならSTMでも、となっちゃいそうです。STMなら10本は買えますからね……。

TAMRON SP45mm F/1.8 Di VC USD<F013>

凹先行のレトロフォーカスを採用した標準レンズ。高倍率ズームレンズというイメージのタムロンだけど、こんなレンズも最近は出しているんですね。

1枚目のレンズが凹で光が拡散しますから、その補正系のレンズでどのような結果になるのかというのがポイントです。

いや、流石に最新のレンズですね。今回のレンズのなかでも最も最後発の製品です。

MTFは開放のみ記載してありますので絞り込んだときの状況はわかりませんが、開放からしっかりした性能が見て取れます。

非常に優等生的なレンズで、手ぶれ補正もありボケの形も良好な雰囲気があります。画面端のほうがやや乱れるようですが、ちょっと絞れば解消できそうです。

重さ(EF50mm F1.4 USMの約2倍)や価格(実売でEF50mm F1.4とほぼ同じ価格)など他に比較する部分はありますが、性能としての不満は感じなさそうですね。

SIGMA 50mm F1.4 DG HSM

光学性能を追求するとこうなるよ、というようなレンズ。もちろん制約はあるんでしょうけど。

このスペックでここまでのレンズを使うものなんですねぇ。

開放時のスペックで、赤が10本/mm・緑は30本/mmを表しています。実線が放射方向、破線が同心円方向です。

非常の良好なグラフになっていて、中央付近のコントラストの高さが目を引きます。解像も2本の線が近似していていますね。開放からしっかり使えるレンズという印象です。

代わりに周辺はやや乱れ気味で、背景の色などによっては二線ボケなどの傾向が見られる可能性がありそうです。

ポートレートより、人工物の撮影なんかに向いてそうにみえますが、さてどうかな。このレンズ、非常に重く(815g・EF50mm F1.4は290g)また大きい(全長99.9mm・EF50mm F1.4は50.5mm)ため、買った後使い続けられるかも含めて考えるべきでしょうね。EF24-70mm F2.8L II USMが長さ113mm、重量805gです。これで、このレンズがどれだけ大きいかわかろうというものです。

まとめ

純正にこだわりがあって、開放値がF1.8でいいならEF50mm F1.8 STMが良さそうです。性質的にも純正の中では最も安定しています。

手ぶれ補正が必要ならタムロンですね。MTF曲線の値も高く、45mm F1.8でいいならこれがベストに近い気がします。

F1.4が必要ならシグマ。大きく重いですが、しっかりした描写が期待できます。

どうしても大口径が必要ならEF50mm F1.2L USMが選択肢に入ってきます。高価ですし、クセも強そうな反面、使いこなしという楽しみがあります。

一口に50mm(標準レンズ)といっても、その性質は千差万別で、どれひとつとして同じ傾向のレンズはなさそうです。だからこそレンズ選びは楽しいし、撮影に行きたくなるんですよね。

次の単焦点レンズ、何にしましょうか?

ではまた。

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