MTF曲線を読めるようになろう

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みなさんこんにちは

勉強の秋ということで、今回はちょっとお勉強をしましょう。

お題は『MTF曲線』です。

はい、もう読むのをやめようとしましたね?(笑)

流し読みでも構いませんので、ちょっとだけお付き合いください。

これがわかるとレンズ選びがもうちょっとわかるようになりますから……。

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MTF曲線とは?

ざっくりとした説明をすると、そのレンズがどのような特性を持っているのかを図に表したもの。まぁ、そんなことはわかってるよ、ただ意味がわかんないんだよという答えが返ってきそうですが。

レンズには解像度やコントラストといったものがあり、普段は感覚的にヌケが良いとか言っているわけですが、そんなことばっかり言ってると雑誌の提灯記事に踊らされて受け売りのような説明ばっかりになっちゃうわけです。よくわかんないのに、このレンズはカリッとしてるねとかそういうやつです。趣味の世界なら別に悪いことではないんですが、実際に買おうと思ったら数千円の中古レンズだって数十万円の高級レンズだってそれなりの勇気がいるわけです。

数十年前の高級レンズと今のキットレンズ、どっちが性能が高いかなんて使ってみなけりゃわからないわけですがそのために買いまくるってのも……ねぇ。

僕のレンズ選びにおいては、あんまりMTFを重視した選択はしないんですが(作例とか重量とか他に参考にしたいものがいっぱいあるし)、とりあえず読み取るくらいはできます。持っていないレンズなんかはこういうのも参考にすると、作例の写真の見方が変わりますからね。

グラフの数値ではこうだったけど作例だとイメージ違うなとか、作例を見てからMTF曲線を見ると納得したりとか。納得できるレンズっていうのは使うときの安心感にもつながるのです。結果が想像できるというのは、そのための画作りができるということですからね。

大層なこと言わなくても、読めるとかっこいいじゃないですか。ちゃんとわかってるよ、みたいなね。

ま、そういうこと。

MTF曲線の意味

大前提として、MTF曲線はメーカーが公表している試験結果です。

各メーカーが共通の試験をしているわけではないので、原則としてそのメーカー内でのレンズ特性表であるという認識が必要です。基本の読み取り方はだいたい一緒ですが、公表内容が違ったりするので。

今回はキヤノン製レンズのMTF曲線で解説していきますね。

表の違い

まず単焦点レンズの場合ですが、表がひとつです。ズームレンズの場合は2つになります。これは、ワイド端(広角側)とテレ端(望遠側)の2つを表しています。ズーム全域で同じ画質ってないからね。

70-200mtf 85mtf

上の表はみんな大好き70-200F4L IS USMです。その下は大人気85F1.2LⅡ USMです。85は表がひとつですね。

今回は85mmの表を使って解説していきます。

線の意味

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上の表に書いてあるのが読み取るための、指標ですね。

ちょっとややこしいが説明しましょう。難しかったらさらっと飛ばして、もうちょっと下の方に進んでくださいね。黒丸のところがポイントです。

まず、キヤノンでは10本/mmと30本/mmという表示がありますね。これはメーカーごとに違いがありますが、キヤノンではこの二種類です。

  • 10本/mm …… コントラストの高さを示す線
  • 30本/mm …… 解像度の高さを示す線

細かい意味合いは置いといて、ざっとこういうふうに覚えておくといいかと思います。いずれもグラフの上の方にある方が性能が高い、という事でOKです。

一般的に10本/mmが0.8以上なら優秀、0.6以上あれば満足ということになります。もちろん高いほうがいいわけですが、数字だけではないことは頭の片隅にいれておいてください。

○○本/mmの意味ですが、1ミリ幅に○○本の線を描いてそれが読み取れるかどうかというテストの結果だからです。詳しくは覚えなくてもいいと思います。数字が小さいほうがコントラスト、大きい方が解像度です。

アルファベットの意味

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表にはSとMがありますね(前述の表と全く同じものです)。線で表した時に実線と破線で表してある部分です。これは何が違うかというと、中心からどのポイントで試験しているか、ということになります。

  • S …… 中心から放射線状に計測した値
  • M …… 中心から同心円状に計測した値(Tと表現したりもする)

ざっくりと、放射線状は中心からナナメに計測、同心円状はドーナツ状に計測というわけです。中心から同じように離れていくのに数値が違う理由ですが、センサー上で結ぶ像が収差(補正しきれない光のズレ)が場所によって違うためです。

レンズの評価サイトとか見ると、中心と端を切り出して掲載したりしていますよね?中心と周囲ではどうしても結果が変わってしまうためです。収差補正のために、レンズの焦点は完全な円を描かない場合があります。そのために二種類の表で示したりするわけですね。

85mtfちなみに、大抵のMTF曲線ではSはSagittal(サジタル-矢印状)の略、MはMeridional(メディオナル-子午)の略です。Mの代わりにTを利用している表もありますが、それはTangential(タンジェンシャル-接線)の略です。同じように捉えていただいて構いません。

どうしても周辺は性能が落ちてしまいますが、これは周辺になればなるほど各収差の影響を強く受けてしまうためです。

表の下に書いてある0-20の数値は、センサー中心からの距離です。35mmフルサイズセンサーの対角線長は約43mmですから、中心からの距離である約21.5mm程度が曲線の一番遠いところ、というわけです。

実際のMTF曲線から特性を読み解く

ぶっちゃけ完全に読み解くことはできません。そんなことできたら作例とかいらないですもんね。

ただ、全く予想できないかというとそうでもないんですが。

前提的な話ですが、ほとんどの写真は被写体が中央付近にあります。ど真ん中を日の丸構図とか言ってベテランほど嫌がったりしますが、ほぼすべてのレンズは中央が一番性能が高いのです。この性能の高さをどこで読み取るかというと、点線と破線が近いところから読み取ります。ここが近くて高いということは、収差の状況が近くよく補正してあるということで妙な描写をしにくい事がわかります。

コントラストを表す線(10本/mm)は中心から15mm程度のところまで良好なカーブを描いています。これは、ポートレートなどで空間を活かした構図を取ったときでも、破綻が少ないことを意味しています。極端に寄せると別ですが、黄金比とか1/3(2/3)法とかやってる人には充分なマージンですね。このコントラスト曲線はボケ味にも影響してきますので、85Lは柔らかめのクセが少ないボケを見せてくれる、かもしれないということがわかりますね。

また、解像を示す30本/mmの線は全体を通して点線と破線が一致しています。なだらかに解像が落ちてはいますが、ここでも収差がよく補正されていることがわかります。周辺の解像感は低いものの、前述のボケと合わせてふわっとした感じになる可能性があります。

実際、85Lはポートレートレンズとして評価が高いですね。僕の読み取りとあなたがどう思ったかは別ですが、僕はこういう読み取り方をしています。違ってるよ、それ。だったらこっそり教えてください(笑)

ちなみにAPS-Cで使うのならば対角線長は約29mmですから、表の15mm付近までを見ておけばいいことになります。そこまででいいのなら、もう抜群の性能ですね。

基本的に開放絞りでの実績がMTF曲線として図示されていることが多いですが、キヤノンではF8のときのものも公表しています。曲線の中の青い線がそうですね。

ちょっと絞ると性能が安定する、というのがよくわかります。

補足しておくと、測定条件が違うのでメーカーが異なると厳密に比較できなくはなるけれど、だいたい参考になります。でもって、焦点距離が異なると同じメーカーであっても一律に比較はできなくなります。これは、焦点距離などによって補正しやすい・し難いなどの違いがあるためです。

役に立つのかな?

役に……立つんですかね。立たせる気がなければ必要ないですよ、実際に。

評価サイトやレンズ本読み漁って決めればいいですし、それを見てどう感じたかを基にすればいいですし。僕も割と人のサイトを読み漁ってます(笑)

でも、人は人・僕は僕。情報を鵜呑みにして買ったけどなんか違う……からといってその人は責められないですからね。少しでも後悔しないレンズ選びのために、たまには役に立たせましょう。

このページがあなたの役に立つといいんですが。

まとめ

キヤノンのホームページは詳しいことが書いていないので、あんまり役に立たないです。MTF曲線自体はしっかり記載してありますので、読めるようになってから見てもいいのかな。

ニコンとかちゃんと書いてありますもんね。ここらへんは光学メーカーっぽいというか、頭が硬そうというか。でもニコンのサイト好きですよ。

MTFチャートみたいなのは、個人的にあまり好きではないのです。難しいから。

基本的に理系じゃないので(かといって文系でもないのは僕のブログ読んでいただいた方はおわかりのはず)頭がパンクしそうになります。かつてパンクしそうになりました。今は平気ですけどね。ちらっと見るくらいにとどめているのが効果的なようです。

絶対勝てないので理論戦とかしたくないですが、最低限の知識があるかどうかってやっぱり違いますからね。知っててそうするのか、知らないからそうなったのかみたいなもんです。

やっぱり知っていたいですね。

ではまた。

※文中の画像・アイキャッチ画像等はキヤノンホームページから引用しました。

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