みなさんこんにちは
魚眼レンズ、気になりますね?色々知りたいわけですね?
じゃあ解説しましょう。
あ、いや、すみません。そんなに詳しくもないですが、仕組みからさらっと解説していこうと思ってるもので。って、魚眼レンズは他のレンズとは扱いというかなんか色々違うので、系列的に書きづらいんですよ。
使いドコロも含めてやや特殊なので、色々なカメラ系ムックなどを見ても魚眼レンズだけ別扱いされてますからね。
みなさんの疑問を少しでも解消できれば、と思います。
ただし、学術向けの記載はありません。そこまでの知識がないので……。
数式を使ったり、難しい言葉が必要な方は別のサイト様でご確認ください。
目次
魚眼レンズってなに?
ざっくりとした言い方をすると、約180°の範囲で写真が撮れるレンズのことです。1枚にそれほどの範囲を収めるため、周囲はくぐっと変形して写ります。
約、ということでそれ以下の場合もありますし、それ以上写るものも過去にはありました。数年前に中古で約1300万円(当時のレート)の値がついた「Fisheye-Nikkor Auto 6mm F2.8」なんかは220°もの範囲で撮影できるんですね。ちょっと話題に上ったのでご存じの方もいるはず。
名前の由来は、魚が水中から空を見上げたときに見える視界からだそうです。魚ってすげぇな。ちなみに、水中では屈折率の関係で陸上とは見え方が違います。水中で魚が見ている世界は魚眼じゃないですよ。
魚眼レンズにはその投影方式(収差の制御方式と思ってください)でいくつかの種類が(現在の写真用には大きく2つ)ありますが、そもそも選択肢が少ないレンズなので深くは気にしなくていいです。
180°を写す方法としては円周魚眼と対角線魚眼の2つの方法があります。これは後述します。
収差?
写真は実は、平面なんですよ。……ってこれはみなさんご存じですね。
でも、世の中は平面ではないのです。立体を平面化していくと、必ずほころびが出てきます。
そのほころびをどう繕うかが、レンズの違いなのです。
通常の広角レンズであれば、まっすぐはまっすぐ写るようにたくさんのレンズを使って調整していきます。そうすると、どうしても端の方は同じ大きさに収まらなくなってくるんですね。端の方が大きくなってしまいます。なので、まっすぐ写すことをせずに、歪んだ状態でたくさんの情報が入るようにしているのが魚眼レンズです。広角レンズの場合この歪みは歪曲収差といって、嫌がられるものなのです。しかし、魚眼レンズだとレンズ設計も使用もそこを求めてないので製品として成り立ってるんですね。
むしろ歪んでもいいから情報入れろってスタンスです。
ここの制御方式が前述した2つの投影方式に関わってきます。知ったからといって、特に撮影は何もかわらないのですが、興味があれば調べてみてください。
すごくディープな世界でもあるので、投影方式などを知っていくと実は収差じゃないこと(収差補正されているなど)もわかってきますが、まぁ、その辺は、うん。
なぜそのようなレンズが必要だったかというと、天候などの研究に使用していたからのようです。見える範囲の空が全て写る必要があるんでしょうね。そこら辺りの事情は詳しくは知りませんが。とにかく、かなり古い段階からジャンルとしてはあったようですね。
円周魚眼と対角線魚眼って?
イメージサークル上の画角を180°としたときに、それをどのように写すかの違いです。
円周魚眼は、フィルム(撮像素子)上に円状のイメージサークルをそのまま写し出します。イメージサークル外は、当然ながら真っ暗です。上下左右ともに180°写ります。画像のオレンジ色の部分(撮像素子上)は、何も写らないということですね。
対角線魚眼は、フィルム(撮像素子)の対角線上に180°で写し出します。当然ですが上下左右は180°も写りません。代わりに、イメージサークル外は写りませんので、写真の中に真っ暗なところはありません。画像の青い部分は写真に映らない部分、ということです。
どちらがいいかはお好みですね。選択肢次第ですが。悲しいことに円周魚眼レンズは選択肢が少ないのですよ。
各社の魚眼レンズ
カメラメーカーごとの魚眼レンズ対応を表にまとめました。この表では対角線画角が160°以上のものを対角線魚眼として表記しています。画角がそれを下回るものは超広角レンズとして分類しました。
モレがあったらご指摘ください。
キヤノン | ニコン | ペンタックス | ソニー | 富士フイルム | マイクロフォーサーズ | シグマ | |||
キヤノン |
フル |
円周~対角線 | – | – | – | – | – | – | |
APS-C | 対角線~超広角 | – | – | – | – | – | – | ||
ニコン | AI AF Fisheye-Nikkor 16mm f/2.8D | フル | – | 対角線 | – | – | – | – | – |
AF DX Fisheye-Nikkor 10.5mm f/2.8G ED | APS-C | – | 対角線 | – | – | – | – | – | |
ペンタックス | smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED[IF] | APS-C | – | – | 対角線~超広角 | – | – | – | – |
ソニー(E) | SEL28F20 + SEL057FEC | フル | – | – | – | 対角線 | – | – | – |
SEL16F28 + VCL-ECF2 | APS-C | – | – | – | 対角線 | – | – | – | |
ソニー(A) | SAL16F28 | フル | – | – | – | 対角線 | – | – | – |
富士フイルム | APS-C | – | – | – | – | – | – | – | |
オリンパス | M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 Ⅱ(R) + FCON-P01 | m4/3 | – | – | – | – | – | 超広角 | – |
パナソニック | LUMIX G FISHEYE 8mm / F3.5 | m4/3 | – | – | – | – | – | 対角線 | – |
シグマ | 8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYE | フル | 円周 | 円周 | – | – | – | – | 円周 |
15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE | フル | 対角線 | 対角線 | – | – | – | – | 対角線 | |
4.5mm F2.8 EX DC CIRCULAR FISHEYE HSM | APS-C | 円周 | 円周 | – | – | – | – | 円周 | |
10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM | APS-C | 対角線 | 対角線 | – | – | – | – | 対角線 | |
トキナー | AT-X 107 DX Fisheye | APS-C | 対角線~超広角 | 対角線~超広角 | – | – | – | – | – |
やはり、レンズラインナップが豊富なメーカーのほうが魚眼レンズも選択肢が多いですね。
キヤノンは純正で円周魚眼から対角線魚眼まで用意することができます。以前はニコンもあったんですけどね……。まぁ、円周魚眼なんて売れないレンズだし……。
広角レンズとどう違うの?
すごーくディープな話をすると、写真用の魚眼レンズは広角レンズと同じだということになります。が、ここでは写真表現としての違いを考えてみましょう。
広角レンズと魚眼レンズの違いというのは、簡単に言うと世界地図の関係に近いものがあります。(イメージ的な話なので、厳密には違います)
例えば、地球儀を想像してみましょう。赤道を水平にして経度を垂直にすると、目の前に十字の線ができますね。そして見える範囲の緯度経度は歪みながらも平面化できます。
この場合、見える範囲を距離または角度に等しく表示できます。
これが魚眼レンズです。
そして、社会の授業で使う一般的な地図を思い浮かべます。これも赤道を水平に、経度を垂直にする(日本が中心になっているはず)と、中心は十字になります。ただ、中心から外れていくと本来歪んでいる部分も平面化(直線化)されているんですね。
これが広角レンズです。周辺にいくほど大きく写ります。
同じ面積に地球儀と地図を写すのであれば、地球儀の方がコンパクトに写せますね。
イメージとしてはこんな感じです。
ただ、これはあくまでもイメージとして捉えてください。世界地図は地球の裏側まで描いてありますし、そもそもレンズとは考え方が違うので。
焦点距離と画角の関係
先程、地図に例えて説明をしましたが、中心となるポイント(被写体)についてはどうでしょうか。
魚眼レンズは中心が大きく写る、って聞いたことありませんか?
あれ、実は前提になる言葉があるのです。
焦点距離に関する話はここにもさらっと載せていますので、良ければご一読ください。
焦点距離はセンサーサイズによらないとしています。
センサーサイズも焦点距離も変わらないのであれば、当然写る大きさは変わらないのですね。
広角レンズで撮影した写真と魚眼レンズで撮影した写真です。
どちらも15mmで撮影しました。三脚を使用していないので多少傾いていますが、中心部の大きさは同じに見えるはずです。
ただ、周囲の写りは違いますね。
広角レンズでは、周辺は大きく写るといいました。
魚眼レンズの中心部が単純に大きく写るのではなく、(周囲が広角レンズと比較して小さくなるため、相対的に)『中心部が大きく写る』ということなんですね。
ここを理解しないと、魚眼レンズは使いこなしが難しいだけの飛び道具になってしまいます。
どう写る?
円周魚眼での撮影
円周魚眼では、このようにイメージサークル外の部分は黒く写ってしまいます。
対角線魚眼での撮影
先に出した写真と同じものですね。この場合は対角線上に180°写りますので、イメージサークル外が写ることはありません。画面全体に写すことが可能です。
使いどころって?
水平垂直をきちんと取れば、超広角レンズ的な使い方が可能です。逆に大きく歪ませて撮影することも可能です。
雑感的な撮影をするのが僕の使い方では多いですが、歪みを活かしたポートレートでも使えます。歪みをどこに持っていくかでイメージが大きく変わりますので、インパクト重視の1枚にもってこいですね。
おすすめの魚眼レンズ
Canon 超広角ズームレンズ EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM フルサイズ対応
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Tokina 魚眼ズームレンズ AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5 (IF) キヤノン用 APS-C対応
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まとめ
いかがだったでしょうか。何となくモヤモヤは晴れました?晴れないですか?
僕は写真をはじめて、割と早くから魚眼レンズに触れる機会があったので、あまり抵抗がないのですが、はじめのうちはかなり扱いづらいですよね。でも、だからこそ狙い通りにいったときが楽しいわけですよね。
魚眼レンズでは特に、写真の基本を押さえておくだけで見違えるような仕上がりになります。ぜひ、使いこなしてほしいレンズですね。
ではまた。