みなさんこんにちは
先日、ニコンがフィッシュアイズームを発表しましたね。
そこで気になるのは先行しているフィッシュアイズーム・既存の単焦点との比較です。
何が違うのか、どう違うのか気になるところ。スペックを確認していきましょう。
ニコンのレンズをご存じない方はこちらからどうぞ。
フィッシュアイズームって何?
フィッシュアイ(魚眼)のズームレンズです。
魚眼レンズには大きく
- 円周魚眼
- 対角線魚眼
の2つがありますが、この片方または両方をカバーしているのがフィッシュアイズームなんですね。
魚眼レンズについてはこちらの記事をご覧ください。広角レンズも含めて解説しています。
どこが出してる?
現状、新品で手に入るレンズとしては、キヤノン・ペンタックス・トキナーがあります。ここにニコンが追加となったわけですね。
- Nikon AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED
- Canon EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM
- PENTAX smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5 ED
- Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5(IF)
今回比較はしませんが、過去にペンタックスが出していたフルサイズ向けフィッシュアイズームとして、smc PENTAX-F FISH-EYE 17-28mmF3.5-4.5というものも過去にありました(フルサイズで使用可能)
スペック比較
まずは、フィッシュアイズーム同士で比較しましょうか。
メーカー名 | Nikon | Canon | PENTAX | Tokina |
---|---|---|---|---|
レンズ名 | AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED | EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM | smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mmF3.5-4.5 ED | AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5(IF) |
マウント | ニコンFマウント(CPU内蔵・Eタイプ・AF-S) | キヤノンEFマウント | ペンタックスKマウント | ニコンFマウント キヤノンEFマウント |
焦点距離 | 8-15mm | 10-17mm | ||
フォーマット | フルサイズ | APS-C | ||
画角 | 180° | 180°-100° | ||
撮影範囲 | 円周-対角線 | 対角線-超広角 | ||
F値 | f3.5-4.5 | f4 | f3.5-4.5 | |
レンズ構成 | 13群15枚 | 11群14枚 | 8群10枚 | |
射影方式 | 等立体角射影方式 | 等距離射影方式 | ||
最短撮影距離 | 0.16m | 0.15m | 0.14m | |
最大撮影倍率 | 0.34倍 | 0.39倍 | ||
絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) | 7枚 | 6枚 | |
大きさ(径x長さ) | 約77.5mm x 83.0mm | 約78.5mm x 83.0mm | 約68mm x 71.5mm | 約70mm x 71.1mm |
重量 | 約485g | 約540g | 約320g | 約350g |
発売 | 2017.6.30 | 2011.7 | 2005.12 | 2006.9 |
価格(税別) | 152,500円 | 150,000円 | オープン | 87,000円 |
参考 |
TokinaとPENTAXは協業でのレンズらしいので、基本的な部分は同一になるようです。
フルサイズ向けとAPS-C向けは重さに結構差が出てますね。しかし、その中でも今回のレンズは軽量だといえます。さすがに大きさはキヤノンと変わりませんが。
今度は単焦点レンズとも比較してみます。フルサイズ向け魚眼での比較です。
メーカー名 | Nikon | Nikon | SIGMA | |
---|---|---|---|---|
レンズ名 | AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED | AI AF Fisheye-Nikkor 16mm f/2.8D | 8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYE | 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE |
マウント | ニコンFマウント | ニコンF/キヤノンEF/シグマSA | ||
焦点距離 | 8-15mm | 16mm | 8mm | 15mm |
フォーマット | フルサイズ | |||
画角 | 180° | |||
撮影範囲 | 円周-対角線 | 対角線 | 円周 | 対角線 |
F値 | f3.5-4.5 | f2.8 | f3.5 | f2.8 |
レンズ構成 | 13群15枚 | 5群8枚 | 6群11枚 | 6群7枚 |
射影方式 | 等立体角射影方式 | 記載なし | 等立体角射影方式 | |
最短撮影距離 | 0.16m | 0.25m | 0.135m | 0.15m |
最大撮影倍率 | 0.34倍 | 0.09倍 | 0.21倍 | 0.26倍 |
絞り羽根枚数 | 7枚(円形絞り) | 7枚 | 6枚 | 7枚 |
大きさ(径x長さ) | 約77.5mm x 83mm | 約63mm x 57mm | 約73.5mm x 68.6mm | 約73.5mm x 75mm |
重量 | 約485g | 約290g | 約400g | 約370g |
発売 | 2017.6.30 | 2002.8 | 2006.8 | 2006.4 |
価格(税別) | 152,500円 | 112,500円 | 85,000円 | 65,000円 |
参考 |
どうでしょうか。何となく違いは見えてきましたか?
以下でもう少し見ていきましょう。
製品のポイントは?
フルサイズ(ニコンFXフォーマット)対応で、その際は円周魚眼~対角線魚眼レンズとして使うことができます。APS-C(ニコンDXフォーマット)で使用する場合は対角線魚眼からの画角です。
特にフルサイズで使うときには、2本分のレンズが1本でまかなえるというのがメリットですね。現状、ニコンでは単焦点円周魚眼レンズがラインナップにありませんので、純正で使用したい方は待ち望んでいたのでは?
この焦点距離設定には、特にクリックストップなどは設けられていないようですね。キヤノンの魚眼ズームを使っていて思うのは、ストッパーなり設けて欲しい、というところ。意図せず画角が変わることもあるため、何かしらの対策があっても良さそうなんですけどね。
メーカーホームページのアイコンに記載の採用技術は以下の通り。
アイコン名 | 内容 |
---|---|
SWM | 超音波モーターのこと。レンズ名のAF-Sが表記として該当する |
N | ナノクリスタルコート。ニコンが誇る反射防止コーティング |
ED | ED(特殊低分散)レンズのこと。色にじみを抑えてくれる |
AS | AS(非球面)レンズのこと。歪みを効果的に補正できる |
M/A | オートフォーカス中でもマニュアルフォーカスが可能なレンズのこと |
IS | レンズ中群でピント合わせをするレンズ。ピント位置によって全長が変わらないのがメリット |
その他、レンズフードはロック付きのバヨネット方式。レンズキャップは被せ式でフードごと外せます。
汚れに強いフッ素コーティングが施されているほか、レンズ後端にゼラチンフィルターホルダーを設けています。
ガチンコで当たるレンズとしては、キヤノンのフィッシュアイズームですが、それよりも一割以上軽いのがポイントです。大きさはほぼ同じなのに。
描写を見ると、ハーレションやパープルフリンジなどよく抑えてあると感じます。最高の状態であることを差し引いたとしても素晴らしい出来なのではないでしょうか?ここら辺はナノクリスタルコートの恩恵なのでしょうね。
大きさや描写は開放絞り値の影響も大きそうです。キヤノンのフィッシュアイズームがf4通しである反面、ニコンのフィッシュアイズームは変動(f3.5-4.5)です。レンズの大きさや配置などは考え方の違いが表れていますね。
気になる点としては、ニコンのこのレンズはIF(Internal Focusing)方式を採用しています。上図のレンズ中群を動かしてピントを合わせる方式ですが、全長変化がなく素早いAFが可能になる反面、被写体が近づくと事実上の焦点距離が短くなるというデメリットがあります。ウルトラワイド感のある接写を行いたい、などのときには迫力不足になる可能性も考えられます。どの程度の大きさになるかは事前に確認しておきたいですね。
メーカーページにサンプルがありますので、参考まで。
ズームを買うべき?それとも単焦点?
純正で円周魚眼を使いたいなら買うしかないですね。
僕の記憶にある純正の円周魚眼レンズとしてはMFレンズしかなかったのではないかな?違ったら教えてください。ずいぶん長く更新されなかったものです。用途が狭いので、商売としてはなかなか難しいんでしょうね。
フルサイズで検討しているなら、単焦点のサードパーティー製レンズ(シグマ8mm)でも重量400gありますから、大きさ・重さで選ばないという手はなさそうです。8mmならどちらもf3.5ですし。
後は価格、でしょう。
対角線魚眼しか使わない、しかも明る方がいいとなれば純正単焦点のFisheye16mmF2.8Dです。価格上の問題であればシグマもオススメ。しかし、表現に違いがありますのでそこは注意が必要かな。特に学術用途などであれば。
金額上の問題がなく、円周魚眼が使いたいなら今回のレンズが後悔しないと思います。
ニコンDXフォーマット(APS-C)だと、もう少し悩みが深くなりますね。純正で円周魚眼はできませんからその際は直に社外レンズに行きましょう。シグマが4.5mmの円周魚眼を出しています。
対角線魚眼からもう一歩踏み込んだ広角表現を行いたい、180°にこだわらない魚眼効果を得たいというなら今回のレンズです。そうでなければ重量や取り回しの面からもDXフォーマット用の単焦点でいいのではないでしょうか?もちろん、描写をみて判断すべきですが。
ニコンの魚眼レンズは、これでキヤノンと同じように長期販売になっていくと思います。悩んでいる方はとっとと買って撮影楽しんだほうがいいかもしれませんよ。魚眼の悩みはこれで解決しちゃいますしね。
ではまた。