みなさんこんにちは
前回、前々回とミラーレスの話をしてきましたが、ファインダーつながりで視野率や見え方の事もちょっと考えておきたいと思います。
前回の記事はこちら
視野率とは
視野率というのは、実際に撮影した結果とファインダーで見える範囲の一致率のことです。
現在の一眼カメラの場合、最大値は100%になっていることが多いです。
今回は95%という視野率を再現してみました。
左はファインダーで覗いた状況です。
そして中央が実際の撮影結果。一回り船が小さくなっています。
右はファインダーで見えていなかった部分にマスクをかけています。
これが視野率です。今回のサンプルではそれほど気になりませんし、プリントや台貼りする時に多少切られてしまいますから、人によっては視野率が100%でない方が望ましいという人もいます。
視野率は一眼レフで発生します。要はペンタプリズムに送る光の範囲ということだからです。
これがライブビューであったり、電子ビューファインダー(EVF)である場合、センサーに送られた情報を表示しているので原則として発生しないんです。
ファインダー倍率とは
等倍のファインダー倍率では、ファインダーを覗いている時にもう一方の目で周囲を見ると、それぞれが同じ大きさで見えます。倍率が低くなると、ファインダー内の状況は小さくなってしまうということです。
もちろん、これはレンズによっても変わりますので、基本的に50mmでの結果がスペックシートには記載されています。
倍率が大きくなるとファインダー内の情報が見やすくなりますが、拡大するための部材などで高価、かつ重量増になってしまいます。
またセンサーサイズによらず、50mmでの結果を記載していますので、フォーマットによって視野率を換算する必要があることにも注意です。
各機種のファインダー視野率と倍率
機種名 | EOS-1D X Mark II | D500 | a9 | OM-D E-M1 Mark II |
---|---|---|---|---|
センサーサイズ | フルサイズ | APS-C | フルサイズ | m4/3 |
視野率 | 100% | 100% | 100% | 100% |
ファインダー倍率 | 0.76倍 | 1.0倍 | 0.78倍 | 1.48倍 |
ファインダー倍率 (フルサイズ換算) |
0.76倍 | 0.67倍 | 0.78倍 | 0.74倍 |
EVFドット数 | ペンタプリズム | ペンタプリズム | 368万ドット | 236万ドット |
それぞれのセンサーサイズのフラッグシップ機で比較してみました。
ファインダー視野率は全て100%ですね。注目はファインダー倍率です。カタログではD500の1.0倍やOM-Dの1.48倍は非常に大きく見えますが、実際の倍率としては0.67倍・0.74倍と思ったより小さくなってしまいます。
エントリーモデルでの比較はどうでしょうか。
機種名 | EOS Kiss X9 | D3400 | K-S2 | OM-D E-M10 Mark II |
---|---|---|---|---|
センサーサイズ | APS-C | APS-C | APS-C | m4/3 |
視野率 | 95% | 95% | 100% | 100% |
ファインダー倍率 | 0.87倍 | 0.85倍 | 0.95倍 | 1.23倍 |
ファインダー倍率 (フルサイズ換算) |
0.54倍 | 0.57倍 | 0.62倍 | 0.61倍 |
EVFドット数 | ペンタミラー | ペンタミラー | ペンタプリズム | 236万ドット |
こちらもカタログ値ではいい感じの倍率ですが、実際の倍率で比較すると小さくなってしまいますね。割りと頑張っている機種もありますが……。
エントリーモデルになると流石に視野率が下がってきます。とはいえ、95%ですからそれを問題とみるかどうか。逆にEVF搭載のミラーレスは100%を維持しています。倍率が下がって見づらく感じる部分もありますが、撮りたいものがそのまま見られるというのはメリットですね。
色味の違和感は?
ファインダー視野率・倍率の他に覗き込んだときの問題点があります。
それが色味です。
オリンパスでは輝度調整(キャッツアイコントロール)と色温度調整を搭載しています。OM-D E-M1 Mark IIでは色温度調整を±7段、エントリーのOM-D E-M10 Mark IIでは±3段となっています。
同様の機構はソニーaにも搭載されていて、色温度調整を5段階で搭載しています。
手動調整だとシーンごとに設定が必要になりますし、自動調整では実際の視界との色味の違いが大きくなってしまう場合があります。これは光学ファインダーでは全く無視していい(というよりそもそも発生しない)問題です。
ここもミラーレスの課題点ですね。
まとめ
高級機種では視野率の問題は発生せず、ファインダー倍率も同等となっていますが、エントリー機種では高価な部材が使えないためミラーレスのほうが高性能にしやすい、というのが見えてきました。
軽量化と低コスト化が必須のエントリー機種ではミラーレス化は正当な進化の方法として充分に実用的、ということでもありそうですね。
逆に考えると、中級モデル以上ではまだまだ光学ファインダーのほうが、デメリットが少ないということでもあります。もちろんメリットもあるため、もうしばらくは手探りが続くんでしょうね。
以前の記事でも触れたような、ペンタプリズムのメリットとデメリットを天秤にかけて、今後光学式ファインダーが駆逐されるのか、それとも共存していくのか。
あと数年は今の状態でしょうけど。その先はどうなるんでしょうね。
ではまた。