みなさんこんにちは
ご存じない方もいらっしゃるでしょうが、先日発表が行われた富士フイルムのデジタル写真の現像システムがもうすぐリリースされます。
このシステム、非常に面白いんですよ。
ということで簡単に見ていきましょう。
FUJIFILM X RAW STUDIO
ざっくりした説明を行うと、PCに接続したカメラ内で画像処理を行うソフトウェアです。
そもそもデジタルカメラの画像処理エンジンというのは、その名の通り画像処理に特化したものなんですね。汎用CPUで画像処理を行うPC現像では処理が遅くなり、それをカバーするためにマシンパワーを必要としてしまいます。つまり比較すると高速な処理を行えるということです。
現細かい仕様などは不明ですが、PCの役割はデジタルカメラ内の画像を表示し様々な指示を行うことと、編集した画像を保存することなどが主となってきます。
FUJIFILM X RAW STUDIOでできることとしては以下のとおりです。
- パソコンに保存しているRAWデータの現像 (シングル/バッチ処理)
- RAW現像した画像のプレビュー
- RAW現像プロファイルの保存、読込み、コピーなど
利用に関しては、対象の機種を指定バージョンまでアップデートする必要があります。
対象機種とバージョンについて
機種名 | 対象バージョン | ソフトウェアリリース予定 |
---|---|---|
GFX 50S | Ver.2.00 | 2017年11月下旬予定 |
X-T2 | Ver.3.00 | 2017年11月下旬予定 |
X-Pro2 | Ver.4.00 | 2017年12月中旬予定 |
X100F | Ver.2.00 | 2017年12月中旬予定 |
繰り上がりバージョンになってますので、大きな変更として扱われているのがわかりますね。
PC用ソフトウェアのリリースは以下の予定となっています。
- Mac版 …… 2017年11月下旬公開予定
- Windows版 …… 2018年1月下旬公開予定
つまりMacユーザーかつGFX 50SもしくはX-T2のユーザーであれば、もう少し待つと体験できる、ということですね。
ソフトウェアは無償ですが、現像などが可能な画像ファイルは同じ機種で撮影されたものに限るとのこと。同一機種、ということでしょうがシリアル管理までされているとしたらちょっと面倒ですね。
ソースはこちら
思ったこと
今回のソフトウェアではPCをコントローラーが付いたモニターみたいなものとして考えるということですね。
そうするとCPUパワーが低いマシンでも、画像の転送に必要な高速なUSBポートさえ備えていれば問題ないということです。特にUSB3.0に対応しているGFX 50SとX-T2は恩恵が大きいのではないでしょうか。これは旅先など屋外での画像編集のために高価で重量のあるノートPCを利用せずとも、タブレットPCでも充分な処理が可能になるということでもありますよね。
スマートフォンやタブレット端末が普及するに従って、ノートPC(PC自体がそうですが)は重要度の低い製品となりつつあります。わざわざ出先の画像編集のために高価なPCを買い足すのもな……という方も多かったのではないでしょうか。
そしてノートPCやWinタブなどを利用すると、背面液晶と違って広い画面でしっかりと編集することができます。せっかく編集したのに、大きな画面で見ると「ちょっと違ったかも……」というような事も少なくなりますね。
気になるポイントはいくつかあります。
例えば接続そのものに関する安定性です。例えば不意に接続が解除されたときなど、編集中の画像の喪失などが考えられます。カメラ内の画像はそのまま処理が継続されるのかもしれませんが、特にPC内に保存している画像の編集をカメラで行ったときが気になりますね。
その他にもカメラ側のバッテリーにも注意が必要です。特に充電するような環境が用意できないときなどは現像そのものを控えるようなシーンも出てくるかもしれません。X-T2とX100FはUSB充電に対応しているので、PCのUSBポートが給電に対応してれば安心です。
この辺は当然考えてあると思うんですけど。
がっつり撮影するようなシーンだと、様々な機種を混合して使用することがあると思います。そういうときはPC内現像ソフトを使うということなんでしょうか。富士フイルムの純正現像ソフトはSilkypixがその役割を担っていますが、カメラ内現像と結果が異なるとはよく聞く話です。
フィルムシミュレーションにも対応するようになってますし、PC内現像も以前ほど抵抗はないのかな?
他社に関してはどうでしょうか。
正直、この方式の現像ソフトウェアはあまり普及しないような気がします。というのもPCのソフトウェアと併せて、カメラ側のファームウェアも更新が必要になってくるからです。
発売機種が多いというのももちろんですが、機種の想定ユーザーが幅広く存在しているというのもそうです。ミッドレンジからハイエンド機種に絞れば良さそうですが、メーカーの対応としてそれはできないのではないかなと。
例えばEOS 80Dは対応するがEOS Kissは非対応などの処置は取れないと思うんですよ。その点、富士フイルムの製品群は比較的上級者向けのラインナップとなっていますので、製品として対応させやすいというのはありそうです。
今後の発売機種に絞って提供したとしても、機種ごとに異なる画素数や、それぞれが対応している特殊な技術(例えばキヤノンのDPRAWなど)があります。それに合わせてチューニングしている画像処理エンジン毎にソフトウェアを対応させるにはハードルが高そうだと感じました。
スマートフォンなどのサービスが軒並みクラウド系に移行しているのが主流のこのご時世で、写真現像などのマシンパワーを必要とする趣味はだんだん少数派になってきています。もちろん、いい写真を撮りたい・見せたいという流れはスマートフォン経由のSNSなどの盛り上がりを見れば一目瞭然なのですが、必ずしもそれがハイエンドカメラへとつながっていないことも確かなんですよね。
少しでも裾野を広げることができるのか、というのが使いやすいソフトウェアなら高額でも売れる、といった時代からの変化点なのかもしれません。
もしかしたら、実際の反響次第ではキヤノンやニコンで噂されるフルサイズミラーレス一眼などで対応する……とか。SnapBridgeなんかは受け側の問題が解消できると色々できそうですし。
実際の動きなんかを早くこの目でみてみたいものです。
ではまた。