みなさんこんにちは
ちょっと前の事ですが、ナショナルジオグラフィックの記事を読んでいてボケっと考えたことがあったので忘備録的にまとめてみました。
何を読んだのかというと、透明なマントで身を隠す生き物の話です。
そのときはへぇ、そんな生き物もいるんだなぁと思った程度だったんですが、何となく気になってしまって何がそんなに気になるのか考えていたのです。別に生物学者でもないですし(そういう記事は好きですけどね)なんなのかと。
で、思い至ったことを。
光の反射で見えにくくなる生き物
ことの発端は(というほど大げさでもないですが)この記事です。
時間があれば一読してもらえるといいんですが、興味ない方もいらっしゃるでしょうか。
要約すると、透明な生き物は自然界で生き残りやすいけれど、さらに上を行く透明なマントに身を包んで光の反射を抑える生き物がいた、ということです。
……要約が下手ですみません……。とりあえず記事を続けましょう。
光の反射を防ぐ層で体表を覆うことで、まるで透明なマントにくるまったように、ほぼ姿を消してしまうのである。
すごいですよね。光の反射を防ぐらしいです。
光の反射を防ぐということは、目に見えづらくなるということですよね。人の目もそうですが、写真は光を写すものなので、反射してこなければ写らないわけです。
また、こんな部分もありました。
7種のクラゲノミを研究したバッゲ氏は、そのうちフクロウミノミ属(Cystisoma)の1種では、脚の表面がナノ突起と呼ばれる微小な構造で覆われていることを発見した。「表面が毛足の長いじゅうたんのようになっていて、光の反射を弱め、和らげているのです」と、バッゲ氏は説明する。
同じ記事からの引用ですが、突起によって光の反射を和らげるそうです。意味がよくわかんないですね。僕の理解の範囲を超えました。
とりあえずなんだかすごいんだ、ということは良くわかります。
そこであれ?となったんですね。どっかで聞いたような聞いてないような……。
あ、あれだ。これレンズの話だ。
光の反射を抑えるコーティング
キヤノンのホームページにレンズテクノロジーの内容が載っています。まぁ、大抵のメーカーではこのように自社技術をわかりやすく解説してくれているんですけれども。
そこに、ふたつの興味深いテクノロジーが掲載されていますので見てみましょう。
ASC
ASC(Air Sphere Coating)は、レンズ表面の蒸着膜の上に、空気の球を含んだ膜を形成するコーティング技術です。屈折率の低い空気をコーティング内に規則的に敷き詰めることで、超低屈折率膜を形成。特に垂直に近い角度で入射する光に対して、高い反射防止効果を発揮し、フレア・ゴーストの発生を大幅に抑制することに成功しています。空気の球は、フラットな界面で覆われているのでコーティング強度が高いのも特長です。
引用:キヤノン
いっている意味は完全にはわかりませんが、反射を抑えるコーティングを施しているそうです。
レンズはガラスでできているので、通常だとレンズ内を光が反射して、結果的にフレアやゴーストにつながってしまいます。そもそも論として反射しなけりゃフレアもゴーストも出ないじゃないか、ということなんですね。
なんだかレンズが透明マントに身を包んだ、ように感じませんか?
SWC
特殊コーティングSWC(Subwavelength Structure Coating)は、レンズの表面に可視光の波長よりも小さいナノサイズのくさび状の構造物を無数に並べることで、光の反射を抑制する反射防止技術です。
屈折率が大きく異なる境界面をなくすことで反射光の発生を大幅に抑制。従来のコーティングでは抑制できなかった、特に入射角が大きな光に対しても優れた反射防止効果を実現しています。広角レンズなど曲率が大きなレンズでも、周辺部のフレアやゴーストの発生を大幅に抑えることが可能です。
引用:キヤノン
これ、ナノ突起ってやつですよね。ナショジオの記事に出てきたフクロウノミの脚についてるのと同じことじゃないんですか?
引用させてもらってる画像がとてもわかりやすいです。こんな突起が生物界にも存在するのですか……。
こんな突起で光の反射が防げるとか、いやはや頭のいい人たちが考えることはホントによくわかんないですね。その恩恵を受けてキレイな写真が撮れるんですから、ユーザーとしてはありがたい話ですが。
ちなみに、この2つの技術を併用したレンズというのがEF11-24F4L/EF16-35L2.8L3という2本のレンズです。現状、この2本しかありません。
高額なレンズですが、最新鋭のテクノロジーを投入されていると考えれば、金額にもやや納得できるような気がします……。
でも高い……。こんなレンズを躊躇なく買えるような人になってみたいものです。
電波をコントロールする乗り物
余談ですが、光と電波の違いって知ってます?というか光と電波と音って繋がった世界の話だということ知っている人!
光と音に対する明確な定義はないようですが、電波には法律に基づいた定義があります。
電波法 第一章 第二条の一
「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。
引用:総務省『電波法』
だそうです。カメラでもおなじみになりつつあるWi-FiやBluetooth、NFCなどはこの電波法によって管理されているんですね。
この周波数が高くなると光になるんですね。ちなみに携帯電話やカメラのリモコンなどにも採用されている赤外線通信ですが、300万MHz(3THz)を超えるので、電波法の管理対象外だそうです。
今回の話には関係ないですけど。難しい話持ち出してきてすみません。
電波も光も似たようなもんなら、電波にも同じような仕組みがあって然るべきではないかと思い、調べてみました。
ステルス戦闘機
電波吸収体技術は形状制御技術ではコントロールしきれなかった鋭角などに、電波吸収体または電波吸収材料(Radar absorbent material、RAM)と呼ばれる物質を使って電波を吸収し反射波を減らす技術である。電波吸収材料は大きく3つに分かれる。
はい、むかし男の子だった人は聞いたことがある(かもしれない)ステルス戦闘機ですね。
ここの内容は僕には難しかったので、好きな人だけ調べてください。
極端なものを例に上げましたが、電波を吸収する素材として他には大型のアーチ橋(下を船舶が航行するため、レーダートラブル防止に採用される)とか、ETCゲート(ゲートに電波が乱反射して正確に利用できなくなるのを防ぐ)など身近なものにも採用されているのです。
はい、余談終了。
まとめ
キヤノンのコーティングがあまりにぴったりだったので、思わずこんなエントリーをあげてしまいましたが、各社シノギを削って開発・競争している分野なんですよね。
コーティングだけで酒の肴にできる人たちがゴロゴロいるのがレンズ沼の住人と呼ばれる人たちでしょう。残念ながら(?)僕はそこまで深みにハマっていないため、へぇ、と言いながら見聞きするばかりですが。
色々なことに目を向けると、面白いところでつながるものなんだなと感じました。最新のテクノロジーが生物界にも存在する、なんて考えたらワクワクしてきますね。
ではまた。