みなさんこんにちは
突然ですが、レンズフード使ってますか?
使ってるという方も存在そのものをよく知らない方も、意味あるの?って方もいらっしゃると思います。
そこで、今回はレンズフードのお話をしましょう。
割と長い話題です。お時間のある時にどうぞ。
目次
レンズフードってなに?
簡単に説明すると、レンズにとっての帽子の庇(ひさし)みたいなものです。まぶしいとき、帽子をかぶるだけで周りが見やすくなりますよね?サングラス?あれはまた別の存在なので……。
人間の目もそうですが、モノを見るのには光が必要です。カメラも光がないと写真が写せませんね?ただ、見たいものを見る光と目に飛び込んでくる光はまた別。邪魔な光はまぶしいだけなのです。
写真においては、レンズで見えている範囲の外に強い光(太陽でも人工光源でも)があると、光だけが写真に写り込もうとしてしまうときがあります。本来必要としない光の名前として、ハレーションやゴースト、フレアなどと呼ぶ場合があります。名前だけでも聞いたことありませんか?
そこでレンズフードです。
撮影に不要な光をカットし、鮮明な写真を撮る事ができるようになります。
では、なぜレンズフードを使わないのでしょうか?
レンズフードを知らない派
近年のレンズは特に、低価格帯を中心にレンズフードが付属していない場合があります。理由としては、大きく2つ。
1つは、コストダウンのため。プラスチックの筒のように見えるレンズフードですが、ざっくり言えばその通りただの筒です。しかし作るのにもコストがかかるし、梱包するのにもコストがかかっています。筒の内側に起毛処理したりと反射防止処理を行っています。また、梱包用にビニールを作り、被せ、梱包する手間は材料とともにコスト(費用)になるのです。
メーカーとしては、初心者(低価格帯のレンズは比率的に初心者が多くなる)に手に取ってもらいやすくなるように、1円でも安くしたいところ。同じ値段で売れば利益になるし。また、同梱しても使ってもらえないのであればつける意味がないとも考えられます。
もう1つは、レンズコーティングの進化です。光は様々な理由で、鮮明な写真を撮ることを邪魔してきます。発生する光の害はレンズフードだけでは不十分な場合もあります。そこで、各メーカーはレンズの表面にコーティングを施しました。ペンタックスのスーパーマルチコーティング(smc)が多層コーティングの先駆けと言われていますが、今では各社より効果の高いコーティングを目指して日夜研究を行っています。
このコーティングが進化したお陰で、かつてよりレンズフードの重要性が低下した、とも考えられます。
レンズフードを使わない派
次にレンズフードの存在は知っていても使わない人もいます。推測ですが、これも大きく2つに分けられるでしょう。
1つ目は効果がわからない場合。または費用対効果としては見合わないと考えている場合です。これは使ったことがない人(やはり初心者を中心)に多く、別売りのレンズフードをお金を出してまで買おうと思わないということです。
フードによっては数千円かけて買い揃えることになりますので、もったいないと感じるのもわかります。また、今の写りに問題がないために買おうと思わないとも考えられます。ここはコーティングの進化の勝利ともいえますかね。
2つ目はダサい、目立ちたくないという場合です。これはベテランにも一定以上存在すると思われます。レンズフードはその効果を発揮するために、ある程度の大きさ(径の大きさや長さなど)が必要とされます。デジタル一眼レフしかり、ミラーレス一眼しかりですが、ボディにレンズを装着しているだけで物々しく見えてしまうんですよね。これに更にフードまで取り付けるとなると、つけていないときの2倍くらい(体感として)に見えてきてしまいます。
さりげなく持っていきたいのに目立つのは嫌だ、ダサい、というわけです。小型のカメラ(レンズ)を持っている時に起こるのかな。気持ちは大変よくわかります。路上スナップなんかだと、フードつけないこともありますからね。
レンズフードの有り無しで変わる写り
ではレンズフードの有無でどのくらい写りが変わるのでしょうか?
レンズ自体は効果がわかりやすいように退役したはずのレンズを引っ張り出してきました。現役のレンズはどれもかなり光に強かったので……。このレンズは常用してないです。15年くらい前に手に入れたのかな?もっと前かも。デジタル対応以前の骨董品クラスのレンズですが、使い方次第では今でも面白いと思うんですよねぇ。出物がほぼないですが、あれば数百円-3,000円までのクラスではないでしょうか。レンズ名は、
- SIGMA 28-70mm F2.8 EX Aspherical
です。デジタル化した直後まではたまに使ってました。5D2との相性はそれほど良くないです。コントラストが低めで、個人的には好きなんですが、ボケ(これはフィルムと同じですけどね)が煩雑で、ピントが後ピンになりやすい上に、僕の持っている玉はデジタルではピントが甘め。フィルムでは問題なかったんですが。で、本題の写真です。
これはフードなし。無理矢理フレアが出るように撮影したので(笑)、なんとも微妙な写真です。右上と左下にゴーストも出ていますね。
ここまでひどいと何が写っているのか判別できないような状態です。フィルムの頃はこんなこともありましたねぇ。ファインダーでも確認できるので、ここまでひどいのはそうそうないんですけど。デジタルだと撮影後の確認もできちゃうので、すぐ撮り直ししますが。
用語の意味合いはこんなもんだと思ってください。
- フレア …… レンズ内で光が反射し、画面全体または一部が白っぽくなること。
- ゴースト …… レンズに当たった光が反射し、光源の対角線上にレンズ形状のはっきりした像を結ぶこと。
で、こちらがフード装着写真です。
かなり違いが出ますね。フード必要!これでもコントラスト低いですが、もともとこいつは何故かこんな写りです。ちょいアンダー目に撮ってやるといい感じに色が乗ってくるんですが、フィルム向けの撮影方法ですね。それは。
光害がまったくない状況であれば割としっかり写ります。とりあえず目についた写真なんで見苦しいのは重々承知していますが、これは全く処理なしです。テストレンズの汚名返上になるかな?
ちなみに、フレアが起きた写真を無理矢理見れるようにしてみました。それがこちら。
上はRAWで撮影し、Lightroomで修正したもの。コントラストをガバッと上げたり、かすみの除去とか頑張ったんですが限界です(僕の限界なのか)
下はRAWをDPPで現像し(JPEG化)、Lightroomで修正したもの。(JPEGからの補正をシュミレート)
これも結構頑張ったんですが、限界。というか、いじり幅がなさすぎてどうしようもない。段階フィルターとかちゃんと使えばもう少しましになる可能性はややあります。ほんのちょっとだけどね。やっぱり腐ってもRAW。
あと、下にとりあえずフードして撮って、RAWで調整したもの置いときます。
要らないかな、とは思いましたが、とりあえず5枚とも掲載順に並べときますね。画面の左右クリックで次画像に移動しますので、比較にどうぞ。
ということで、後調整にも限界がある、という話でした(違う)。
最初からきちんとしておけば、処理の必要もほとんどないと思います。最後のRAW現像して調整した写真も、コントラストとかそのあたりをちょっといじったくらいなので、カメラ内キャリブレーションで充分実現可能な範囲です。
こんなにある!レンズフードの種類
円筒型フード
比較的多くのモデルで採用されるフード形状です。望遠レンズに特に多いですが、これはレンズの口径よりも長いフードが円筒形でできるためと、持ち運び時に逆さ付けした際のマッチングの問題。花形フードだととんでもない長さになるからです。
広角レンズにも採用されていて、この場合はファッション性やレンズ保護を兼ねていることが多いようです。採用としては焦点距離を問わず、単焦点レンズが多いようです。
その形状から、汎用性の高さも魅力。
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花型フード
写真の長辺にあたる部分を長く、短辺を短くしたフードです。チューリップなどの花に似た形状からその名がついたと考えられます。特に広角から中望遠ズームでの採用が多く、特に超広角から広角では単焦点・ズーム問わずかなりの比率でこの花型フードです。
写真に写り込まないエリアのギリギリまでフード先端を伸ばすことができるため、より効果的な遮光が可能になります。画角(写る範囲)が変わるズームレンズでも、広角側でギリギリまで伸ばしておけば望遠側でも多少の効果が得られるというメリットがあります。
また、その形状から特定のレンズ専用の設計になっていることが多く、その意味でも効果が高いといえるでしょう。
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ラバーフード
その名の通り、ゴムでできたレンズフードです。
基本的にねじ込みの汎用で、形状と画角さえ合えば使えるというメリットがあります。また、レンズフードの中では安価な商品が多い傾向にあります。ゴム系素材ですから、当然柔らかく、コンパクトに折り畳める商品も多くあります。
以前の単焦点レンズ(といってもMF時代)には、金属の円筒型フードかこのラバーフードがスタンダードでした。望遠レンズは金属フード、標準から広角はラバーフード、といった具合です。
クラシックなイメージなのか、ノスタルジックデザインのカメラ・レンズにあえてラバーフードを装着する方もいるようです。ラバーの変形する特徴を活かして、撮影補助に使うこともできるので、実は今でも便利なフードでもあります。
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フジツボ型フード
最近見ることの多くなってきたタイプですね。それなりに以前からあるのですが、ミラーレス機が増えて、コンパクトなレンズが多くなってから更に見る機会が増えましたね。
普通のフードと違い、開口部がすぼまっているタイプです。
基本的に汎用品を使うことになるのですが、一部メーカー純正で用意しているものもあります。原則として標準域を中心とした準広角から中望遠までの小口径レンズ向きです。というのも、すぼまった形状のため遮光効果を得られる範囲が狭く、レンズの先端(前玉といいます)が大きな大口径レンズでは覆いきれないこと、広角レンズではフード先端が近くなるために映り込む可能性が上がるためです。
従って、ラインナップ上もフィルターねじ込みサイズはそれほど大きなものは用意されていません。
すぼまったフード形状のため、レンズが隠れる形で威圧感が少なかったり、フードを含めた全長が短く収まることから、スナップなどでも活用されています。
バリエーションが増えるともっと広く流行りそうなんですけどね。
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便利なレンズフードの使い方
逆さに置ける
円筒型・一部の花形フードでは、先端が平らになるようにカットされています。レンズ交換の際にその面を下にして置くことで、レンズ交換が行いやすくなります。近くにベンチがあったり、室内撮影の際にはとても便利です。いちいちキャップをしなくても仮置きできるので、結婚式に出席しての撮影なんかもいいですね。
一時置きしたときの転倒にだけは注意しましょう。
ガラスの映り込みを防げる
ラバーフード・一部の円筒型フードでは、ガラスにフードを密着させることでガラスの映り込みを防ぐことができます。ガラスに反射するものを考えるとこれは納得できるはず。
一部の円筒型フードとしたのは、硬いフードは構図の自由度がないんですよね。密着させるとガラスの並行面しか撮れない。また、金属むき出しのフード(これはあんまりないんですけど)はガラスに押し当てるのも怖い(笑)。ラバーフードならナナメに向けてもフード自体が変形してくれるので、比較的構図が取りやすいです。広角系レンズでもそこそこアングルが取れます。
ラバーフードがひとつあるだけで、特に観光地などでの撮影が楽になりますよ。また、動物園などのガラスで観察できるブースでも役に立ちます。PLフィルターでしのぐことはもちろんできるんですが、この手の撮影は明るさが確保しにくいケースも多く、露出倍数がかからない(レンズに何か付けるわけではないので別に暗くならない)フードは意外と重宝します。ピントも確認しやすいですし。広角系レンズの場合、PLも画角上ムラが出ることがありますがフードだとこれも発生しないですね。
使うときにはケラレがないか、遮光性は確保できるか調べてから使用すると安心です。
まとめ
うまくお付き合いできればフレアもゴーストも写真のエッセンスに使えますが、フレアもゴーストも基本的にはレンズ性能を低下させてしまうものです。
どうせ後処理するなら、画面の整理などでの最小限にとどめたいし、できることなら未処理で作品としたいところです。つまらない処理に追われて本質を見失うことがないようにしたいものですね。
レンズフードがついていない状態に違和感を感じるようになれば、あなたも立派なフォトグラファー(?)です。ここはひとつ、立派な(格好いい)フードを付けて撮影に臨もうじゃないですか。
ではまた。