新幹線事故に見る、撮影者のマナーとは

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みなさんこんにちは

実は一度スルーしていたのですが、やはり触れておくべきだと思い書くことにしました。

カメラマンのマナーというか、モラルというか、その部分のことです。

今回は楽しい話はありません。

先日、北陸新幹線で人身事故が起こったのはご存じでしょうか?

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事故概要

<北陸新幹線事故>撮影目的で侵入か、男性死亡 長野・上田

長野県警上田署は7日、同県上田市の北陸新幹線で5日に走行中の車両にはねられて死亡したのは同市の男性(34)と発表した。同署は男性が撮影目的で線路に侵入し、ひかれた可能性があるとみている。

5日午後10時20分ごろ、上田市小牧を走行中の北陸新幹線「かがやき」(東京発金沢行き)が佐久平-上田間で異音を感知して停止。線路付近で男性の遺体が見つかり、この影響で北陸新幹線は最大約4時間にわたり運転を見合わせた。JR東日本によると、北陸新幹線での人身事故は2015年3月の延伸開業後、初めて。

上田署によると男性は過去に、線路内に侵入し、自ら撮影した鉄道の写真をツイッターで公開していたとみられる。男性が線路に立ち入った経路について、同署は「推定される場所はあるが、模倣されるおそれがある」として公表していない。【川辺和将】

引用:毎日新聞

Yahoo記事にも挙げられていた毎日新聞のニュースです。

※日本新聞協会の新聞著作権に関する日本新聞協会編集委員会の見解第32条(引用)に基づいて引用しています。

2年間もの間、人身事故がなく運用してきた北陸新幹線の関係者の方々がどれ程安全に留意してきたのか頭が下がる思いです。

そんな中で発生した今回の事故。

大変残念な思いでいっぱいです。

その他の事故

インターネット百科事典のWikipediaには『鉄道撮影』の項目があります。内容を見てみると、大半は鉄道撮影に起因するトラブル・事故などばかりです。

この記事ひとつをもってして鉄道撮影を否定する気は全くないのですが、問題の深さを感じる内容ではあります。

この項に記載されている事故については以下の通り

  • 1976年、SL列車を撮ろうとして周囲の注意を無視して線路に入った児童が列車に接触して死亡する、京阪100年号事故が発生。(後略)
  • 1984年、鉄道事故の光景(中略)をたくらんだ鉄道マニア3名が、小浜線内で急行「わかさ」を脱線させるなど、(中略)25件の列車妨害事件を起こして逮捕された。
  • 2008年11月29日、(中略)撮影中に倒れた三脚を起こそうとして線路内に立ち入った人物が、貨物列車と接触して死亡した。
  • 2010年2月、(中略)撮影を目的にファンが鉄道敷地内に侵入し撮影していたことが原因となり、安全確保のために多数の列車が運休になるなど多大な影響が出た。
  • 2010年5月6日、上越線でSL列車の撮影に向かったまま行方不明となっていた人物が、捜索の末に崖から転落死していたのが発見された。
  • 2015年12月20日、(中略)踏切内に三脚を置いて117系電車を撮影しようとした男が往来危険罪で現行犯逮捕された。

引用:Wikipedia『鉄道撮影

年代に幅がありますが、近年増加傾向にあるのがわかります。悪質化という部分では今も昔も変わりないようです。

この中に北陸新幹線の事故が加えられるのかと思うと、なんだかやるせないですね。

なぜ鉄道撮影は悪質化するのか

僕は鉄道撮影が趣味でもないですし、仕事でもありません。ですから、実際に日々(休日毎に)車輌を追い、最高の一枚を願う方々の気持ちや、本質的な部分はわかっていないかもしれません。その上で、4つの仮説を立ててみます。

ちなみに、昔より悪質化しているという意味ではなくて、個人の状況がだんだんと進行していくことを言ってます。

その1 本質的に最高の一枚を履き違えている

いわゆる『撮った者勝ち』というやつです。(今でも変わらないのかもしれませんが)一時期のパパラッチと同じです。

対象物の存在を存続させない(そこまで考えてない)という意味で、女衒やクスリの密売人などのヤクザと同じではないかと考えています。近くに対象がいなくなれば次の獲物を探すのです。自分だけが甘い汁を吸えればいいわけですね。

撮影地が無くなっても恐らく反省しないでしょう。映画などで、ヤクザやマフィアが殺した相手に『お前はいいやつ(おいしい存在)だったよ』なんて言ってるようなものですね。

根本的な人間性に問題があるのか、朱に交われば赤くなるというものなのか。そこまではわかりません。

その2 秘密主義が暴走する

多くのカメラマンにとって、撮影地または撮影ポイントは大切な情報です。僕自身もいくつかのスポットを持っています。撮影の時期や時間、向きなどスイートスポットがある場合もあるでしょう。

それを人に教えるのはためらいますね。僕の場合は時間さえかければ当然ほとんどの人が行けるところですし、たまに他のカメラマンに会うところもありますから、墓場まで持っていくようなネタはないんですが。それでも、ね。

そういうスポットが増えると、誰かから『それ、どこで撮ったの?』と驚かれる秘密の場所が欲しくなるのかもしれません。持ってないから欲しくなるのか、持ってても欲が深くなるのか。どちらもあり得ることだと思います。

墓場まで持っていくような秘密の場所なんて、盗品の出所を訊かれて答えられないのと同じなんだと思うんですけど、そうは思わない人もいるということなんでしょうね。

その3 単なる偏愛

ストーカーみたいなものです。愛するがゆえに相手の都合も考えず、『できるだけ近くにいたい』『二人きりで会いたい』なんて暴走しているイタイ人、というわけです。

フェンスのなかに入り込む、とか立入禁止の線路脇とか、民家の庭先とか、まあ色々ありますよね。ひとさまに迷惑かけないような事ならともかく、往々にして迷惑かけていることに気がついていないのです。

爆音鳴らして恋人を迎えに来る単車みたいなもんでしょうか。

自分のやってることにも酔っているので、庭先の枝折ったり植物刈ったりと二人っきりになることに割とためらいがないのもその特徴かもしれませんね。お店の絨毯を汚してもへーきな人かもです。

その4 教育不足

ここまで当てはまらない人はこちらだと思います。

海外の映像なんかにありますよね、列車やバスにぶら下がって乗ってる人の映像。戦中戦後の日本も同様だったようです。80代の祖母が子供の頃、列車にぶら下がっている人を見たことがあるそうです。これは戦中の頃の事のようですが、列車の整列乗車が指導されたのは戦後のことですし、列車内の全面禁煙はバブル崩壊以降の話です。駅構内の禁煙なんてなんと21世紀になってから本格化しました。

でも今ではみんな列車内ではタバコを吸わないし、基本的には並んで乗るし、国内の列車にぶら下がる人を見たことはありません。

なぜか。

教育する人がいて(駅員さんとかですね)、それで学習する人達だからです。いまだにホームの端でこっそりスパスパする人もいるし、そのままポイする人もいます。割り込み乗車する人もね。

学べない(学ぼうとしない)人達なんです。教育は知性と理性に向かって行うので、本能が上回る人にはあまり効果がないんですね。

残念ながら、そういう人もいます。悪いことと知っていて人のものを盗んだり、殺したりする人がいるのです。本当に残念なことです。

なぜ鉄道撮影が槍玉に上がるのか

いわゆる鉄道マニアが槍玉に挙げられる理由ですが、これは比較的単純ではないかと思います。それは、

  • 被害が大きくなりやすい
  • 趣味人の裾野が広い

大きくはこの2つだと思います。

被害が大きくなりやすいというのは、事件や事故になったとき影響を受ける人や金額が大きくなりやすいという意味です。被害が大きくなるということは当然、世論の声も大きくなります。

また趣味人の裾野が広いというところですが、鉄道撮影は始めやすい趣味のひとつだと思います。特に大げさな機材も不要ですし、被写体は必ずレール上をやってきますし。ケータイのカメラで近くの線路に向かえば始められます。

つまりたくさんの人が趣味としていて、みんなが同じような条件で撮影しているからこそ行動がエスカレートしやすいのかもしれません。

車趣味なんかも近いかもしれませんね。地を這うような車高と轟く排気音。違法と知っていてやっている人も多そうです。みんなが同じ車を手に入れられる可能性がある以上、差別化はエスカレートするしかないのかもしれません。

まとめ

色々な例え話などを交えてきましたが、実は鉄道写真ファンが特に悪辣というわけではないと思ってます。だからこその例え話なんですが。つまらない人達はどこにでもいるのです。

でも、だからって槍玉に挙げるのは間違いと思ってないんですよね。

やっぱりそれだけの問題だと思うので。

とはいっても、結構根が深い問題だとも感じています。何と言ってもプロを含めたほとんどの鉄道カメラマンは乗らないんですよ、列車に。

機材もあるし撮影ポイントまでの移動もありますから、車の方が有利なのはわかるんですけども。でも、通勤や日常のアシとして使っている人とは感覚がずれてきてますよね。本来手本となるべきプロカメラマンが品性を疑われるようなことを行ったりしていますので、プロみたいに撮りたいアマチュアが真似する可能性は充分にあります。まったく擁護する気はありませんが。

だいたいそんな写真、プロが撮ろうがアマチュアが撮ろうが価値なんてないと誰かが言わなきゃいけないのです。風景写真も北海道で象徴的だった大きな木が切られたりして一年が過ぎましたし、もう少し考えていかなきゃですよね。

誰かが考えるのではなく、自分が考えることもこの時期、大切なんじゃないかと思うのです。

今回は列車の事故があったのでこんな内容でしたが、どのジャンルでも似たような話はたくさんあります。明日は我が身。自分の作品だけでなく、身の安全も他の人のことも、しっかり考えられる『大人』になりましょう。説教臭いですが。

ではまた。

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